はじめに
当記事は「最悪なる災厄人間に捧ぐ」のプレイ感想・紹介記事になります。
通称「さささぐ」と略される本作ですが、筆者の中では非常に思い入れのある作品の1つです。この作品が埋もれてしまうのは本当に勿体ないと感じております。今回はそんなのさささぐの紹介記事を書かせていただきます。
ゲームの内容に関して極力ネタバレは避けますが、紹介をするために内容に多少に触れている部分がありますので前情報なしでゲームをプレイしたい方はご注意ください。
総評
正直に言って気軽に人にはおすすめできない。でも神ゲー
「気軽に人にはおすすめできない」というのは決してマイナスの意味ではありません。さささぐのシナリオはとにかく心を抉ってきます。筆者の場合、シナリオの展開がつらすぎて余韻に浸りながら深夜に散歩を繰り返していたぐらいです。今思うと作品にのめり過ぎた気もしますが、それだけ凄まじいシナリオでした。
この心を抉ってくるシナリオが本作最大の魅力なのですが、人によっては心に刺さりすぎてしまうため「気軽に人にはおすすめできない」と評しています。
内容については本当に面白かったです。序盤が終わってからはただただ読む手が止まりませんでした。ゲームシステムもADVゲームとしては全然快適です。1点だけ致命的な欠点を抱えていますが、それを除けば最高の作品だったと思います。
誤解されるとアレなので一応補足しておきますが、ビックリさせるようなホラー要素や過度にグロテスクな表現は無いです!そういう表現が苦手な方でも大丈夫です。
作品情報
「最悪なる災厄人間に捧ぐ」はウォーターフェニックスとKEMCOで共同開発されたゲームです。ジャンルは「限りなく透明で残酷な”災厄世界系”ノベルADV」
発売日は2018年8月23日にPS4版が発売され、その後Nintendo Switch版、Android版、iOS版が発売されています。筆者はNintendo Switch版を購入しました。ハードによって内容に差異はありませんので、自分のプレイしやすい物を購入すると良いと思います。
あらすじ
「透明人間」の少女と歩む物語
透明人間の少女・クロと、透明人間しか見えない少年・豹馬。
互い違いの孤独を埋めるため、寄り添って生きる2人に、
やがて“災厄”は牙を剥き、残酷な世界が立ちはだかります。パラレルワールド。透明人間。神隠し。全知の石板。
繰り返される滅びと別れの果て、完全なる絶望が訪れる前に、
不条理な世界の謎を解き、救いに至ることはできるでしょうか?必然にして未然だった出会いから始まる、悲しみと超克の物語。
引用: 公式サイト
要約すると…
- 透明人間になってしまい、ずっと一人ぼっちの少女・クロ
- 人が誰一人として見えなくなってしまったが、クロだけが見える少年・豹馬
- お互いしか認識できない2人が出会い、そこから物語が動き出す…。
こんな感じです。お互いがお互いとしかやりとりできない世界観で物語が進みます。
良かった点
序盤終了以降は読む手が止まらないシナリオ
何度も書きますが、本作は本当にシナリオが面白いです。内容に触れずに説明するのは難しいですが、刺さる人には刺さりすぎて逆につらくなるシナリオだと思います。
少しだけ内容に触れて説明すると、本作は序盤では世界観の解説が終わった後、クロと豹馬の日常が描かれます。その日常が終わった後、物語が一気に動き始めるのですが、そこからは続きが気になりすぎてずっと読む手が止まりませんでした。
本作はおよそ100万文字で綴られる超大作ですが、物語が動き始める所までは恐らく全体の3分の1にも満たないです。それだけ濃密に描かれたシナリオが本作最大の魅力だと思います。プレイする際はある程度まとまった時間が取れるときにやることを推奨します…。
声優・小鳥遊ゆめさんの名演が本当に凄い
小鳥遊ゆめさんは、ヒロインのクロの声優を担当している方です。ゆめさんの演技力が本当にすごく、この演技力だけでこのゲームの1つの魅力になっています。
さらに凄いのが、ネットで調べても小鳥遊ゆめさんの情報が一切出回ってない事です。一体このレベルの声優さんが今までどこに隠れていたんだ…。少なくとも、こういったゲームあるあるの「声優の演技が棒読み過ぎてキツイ…」みたいな事は絶対にありませんので、ご安心ください。
具体的にどう演技が凄いのかはネタバレになってしまいますので、ここでは伏せさせていただきます。気になる方は公式PVか公式サイトから演技を聞くことができますが、プレイすれば自ずと演技力の凄さがわかると思います。
気になった点
ヒロイン「クロ」を好きになれないと面白さが0になる
このゲームの最大の欠点だと筆者は思います。
本作はシナリオの都合上、登場人物が主人公の豹馬とヒロインのクロ以外ほとんど出てきません。内容も当然この2人について、特にクロの話がメインになっています。ですので、もしもクロがキャラクターとして受け付けない場合は、その時点でゲームを楽しむことが絶望的になってしまいます。
逆に言えば、クロを好きになることができればもうゲームをクリアしたも同然だと言えます。もっと言うと、クロを好きになればなるほど面白さが倍増すると言えます。筆者はクロが好きすぎて一時期「クロかわいい」としか言う事ができませんでした。
こればかりは本当に好みの問題なのでどうしようもないと思っています。逆にこのシナリオ構成を崩してしまうと一気にさささぐの魅力が削がれてしまうので、筆者はこのシナリオで大正解だったと思います。
おわりに
本作はネタバレをせずに説明する事が非常に難しく、かなり抽象的な話が多くなってしまいましたが、これが筆者から伝えられる「最悪なる災厄人間に捧ぐ」の情報です。これからプレイするか迷っている方は是非心してプレイして頂ければと思います。