はじめに
当記事は「春ゆきてレトロチカ」のプレイ感想・紹介記事になります。
本作品はネタバレに対して厳戒態勢を敷いており、なんとゲーム中にスクリーンショットを撮る事が一切禁じられている程(Nintendo switch版)です。ですので、本記事で使用する画像は公式PVや公式サイトからの引用になりますのでご了承ください。
当記事ではゲーム内容についてのネタバレはありませんが、内容を紹介するために公式から公開されている範囲の情報を記載しております。完全に前情報なしでプレイしたい場合はご注意ください。
総評
システム面は改良の余地あり、それ以外はかなり高レベル
本作品は実写ドラマで進行するアドベンチャーゲームというかなり新しいシステムが取られています。このシステムの感想ですが、非常に良いシステムだと感じました。特筆すべきは演者さんの演技が非常に素晴らしい点で、演技を見ているだけでも結構楽しかったです。
また、ドラマならではの表現がしっかりゲーム中で活かされており、例えば細かい表情の変化とか、細かい情景の描画のような一般的なアドベンチャーゲームでは難しい表現もこの形式なら可能になるという事を見せてくれました。
春ゆきてレトロチカはアドベンチャーゲームの新しい可能性を示した一作だと思います。続編が出るのなら是非プレイしてみたいです。制作陣の方々、演者の方々は新しい試みで色々大変だったと思いますが、本当にお疲れ様でした。
ただ、ゲームシステムはまだ改善の余地があると感じました。詳しくは後述しますが、ゲームシステムの中に1つだけ失敗してしまっている物があります。そこさえどうにかなれば非常に良いゲームシステムになったと思います。
総じて、非常に面白いゲームだったと思います。是非これからプレイする人はなるべく前情報なしでプレイして頂きたいです。
作品情報
春幸てレトロチカはSQUARE ENIXから2022年5月12日発売されたゲームです。対応ハードは発売時点だと、PlayStation5、PlayStation4、Nintendo Switch、PC(Steam版)になっています。ジャンルは「ミステリアドベンチャー」で、希望小売価格は税込み7,480円です。
筆者はswitch版を購入しました。プレイ時間は13時間でクリアできました。
あらすじ
100年にわたって不可解な死が続く四十間(しじま)一族。
引用: 公式ページ
この一族の元を訪れたミステリ作家の河々見(かがみ)はるかは、
「不老の果実」を巡り時を越えて起きた4つの殺人事件に挑むことになる。
死を呼ぶ「赤い椿」と「不老の果実」。 そして、その先に眠る真実とは ———
春ゆきてレトロチカは、主人公であるミステリ作家の河々見はるかが、不老の果実を巡った殺人事件を解き明かす物語です。
舞台となる四十間家では、100年に渡って4つの殺人事件が起きており、河々見はるかはその事件に持ち前のミステリ作家としての才能を用いて立ち向かいます。
良かった点
実写ドラマ部分が作り込まれており、見ごたえ抜群
何といっても一番のポイントは実写ドラマで進行するアドベンチャー部分です。
過去にも実写を使用したアドベンチャーゲームは存在しています。有名どころだと「428 〜封鎖された渋谷で〜」や「街 ~運命の交差点~」が挙げられます。ですがその2作品は挿絵に実写を利用している形式で、それに対して「春ゆきてレトロチカ」はほぼ全編実写ドラマで物語が進みます。
驚いたのがそのドラマ部分の作り込みで、全選択肢のパターン分のドラマシーンが用意されている点です。推理を間違えたシーンまで全部用意されており、制作陣の本気が伺えます。(絶対演者の人大変だったでしょうに…)
このドラマを見るだけでも非常に楽しめます。ドラマのおかげで登場人物の心情や現場の状況もわかりやすく描写されており、物語の没入感も高まります。
総じて、この実写ドラマシステムは大成功だったと思います。
終盤の怒涛の展開が本当にお見事
実写アドベンチャーという所に目が惹かれがちですが、肝心のストーリー部分も非常に作り込まれています。ネタバレ厳禁なので詳しい事は伏せますが、特に最後の展開は最高の一言でした。
序盤の方は少し退屈気味に感じてしまっていたり、後述する「論理の路システム」が原因で少しプレイするのがつらくなっていたのですが、最後までプレイを進めたときは「最後までやってよかった…」以外の感情が沸きませんでした。
これ以上ストーリーについて言及するのは避けます。是非プレイして自分の目で確かめてください。
気になった点
「論理の路システム」がテンポが悪く、正直苦痛だった…
公式HPで紹介されているシステムの中に「論理の路システム」という物があります。
これは主人公の思考空間を表していて、事件の調査で得た「謎」と「手がかり」を組み合わせて「仮説」を作り、事件解決までの路を作っていくというシステムになります。
画面左側の赤い6角形が「謎」で、画面右側の黄色い6角形が「手がかり」です。謎に対応する手がかりを謎の隣のマス目に配置する事により、「仮説」が作られます。
仮説が作られると上記のような画面になり、主人公の考えた仮説が表示されます。ただ、全部が正しい仮説という訳ではなく、間違った仮説が作られることもあります。正しい仮説はどれかを見極めることが重要になります。
事件を推理する際はこの「謎に手がかりを当てはめる→仮説を見る」の繰り返しになるのですが、これが本当にテンポが悪いです。序盤はまだ良いのですが、ずっとやってると同じパターンの繰り返しで飽きてきますし、終盤になると1回の推理でいくつもの仮説を見なければいけなくなります。
これだけならまだ良かったですが、謎と手がかりを組み合わせる際、実は内容を見なくても描いてある模様を見ればどれを組み合わせれば良いのかわかってしまいます。話を進めていくと、謎と手がかりを組み合わせる際に「あ、これとこれが繋がるの!?」みたいな理不尽なのが多く、プレイしている時は模様を見てやっていました…。
これが原因で論理の路システムは推理をしているというよりかはただの作業になってしまい、進めるのが苦痛でした。
逆にここさえちゃんとしていれば…惜しいです。もしも次回作があるのならここを直して欲しい…!
おわりに
以上が春ゆきてレトロチカの紹介記事になります。
公式がネタバレ厳禁と注意喚起しているだけあって、本作はネタバレを受けると面白さがかなり半減してしまうので、プレイする際は可能な限り前情報なしで、調べても公式HP(と、この記事)だけにしておくことをおススメします。