はじめに
当記事は「アーキタイプアーカディア」のプレイ感想・紹介記事になります。
筆者がとても大好きなゲーム制作会社の1つであるウォーターフェニックスさんから、2022年6月時点で発売されているゲームの中で最も新しい物になります。前回発売された「最悪なる災厄人間に捧ぐ」もレビュー記事を書いておりますので、よろしければご一緒にご覧ください。
ゲームの内容に関して極力ネタバレは避けますが、紹介をするために内容に多少に触れている部分がありますので前情報なしでゲームをプレイしたい方はご注意ください。
総評
確かに面白い、でももう1押しが欲しかった…
前作の「最悪なる災厄人間に捧ぐ」で心をめちゃくちゃにされた筆者は、また同じ感覚になれることを期待して本作をプレイしました。
ストーリーの感想ですが、とても楽しむことができました。このゲームは基本的に主人公は絶望的な状況に置かれており、「この状況からどうやって逆転するんだ…」とか「こうなったらもうおしまいじゃん…」のような展開が続きます。これが非常に面白く、最初の説明部分が終わってから読む手が止まりませんでした。
ウォーターフェニックスさんは“「絶望的な状況の中で抗うキャラクター達の物語」を貴方に提供します。”というキャッチコピーを掲げているほどであり、ここはさすがという感じでした。
ですが、前作の「最悪なる災厄人間に捧ぐ」ほど、筆者には刺さる事はありませんでした。筆者的にはもう少し絶望させてほしかったかな~って感じです。
ただ、「最悪なる災厄人間に捧ぐ」はストーリーの性質上、少し人を選ぶ作品になっているのですが、それに対し「アーキタイプ・アーカディア」では万人に楽しんでもらえるようになった結果がこれなんだと思います。これも1つの完成形だと筆者は考えています。
総じて、お値段以上に楽しめるゲームだったと思います。素晴らしい作品をありがとうございました。
補足ですが、最悪なる災厄人間に捧ぐとアーキタイプ・アーカディアはストーリー的な繋がりはありませんので、前作をプレイしていなくても楽しむことができます。ご安心ください。
作品情報
「アーキタイプ・アーカディア」はウォーターフェニックスとKEMCOで共同開発されたゲームです。ジャンルは「終末仮想世界ノベルアドベンチャー」。通称「アキアカ」と略されます。
発売日は2021年10月21日で、対応ハードはPlayStation5、PlayStation4、Nintendo Switch、PC(Steam版)になります。筆者はNintendo Switch版を購入しました。
プレイ時間は、結構早めにプレイして25時間でクリアまで到達できました。
あらすじ
自傷・他傷行為に走る原罪病によって崩壊した世界。
原罪病を発症してしまった妹・クリスティンを救うため、ルストは、症状を抑える唯一の手段とされるフルダイブ型オンラインゲーム『アーキタイプ・アーカディア』にログインする。記憶をアバターに変えて戦うゲームの中に存在するのは、希望、嘆き、喜び、裏切り、そして逃れられぬ『死』。
失ったはずの記憶が導く凄惨な物語を圧倒的ボリュームで紡ぎ出す、フルボイス・テキストノベルアドベンチャー。
引用: 公式サイト
アーキタイプアーカディアでは、原罪病と呼ばれる病気によって崩壊してしまった世界で繰り広げられる物語になります。
原罪病は治療する方法はなく、唯一の対処法は「アーキタイプ・アーカディア」と呼ばれるフルダイブ型のゲームにログインする事して症状を抑える事しかありません。
ある日、アーキタイプアーカディアにログインした妹・クリスティンがゲームから戻ってこなくなり、主人公のルストは妹のためにゲームにログインします…。
良かった点
常に先が気になる展開が続く
やはり何といっても、一番の売りはウォーターフェニックスさんによって描かれる常に先が気になってしまう展開が続くシナリオです。
アーキタイプ・アーカディアの基本的な流れとして、「主人公が詰みの状況に追いやられる」→「それを逆転する」→「また追いやられる」…といった展開が続きます。これのおかげでストーリー展開が常に変化し続け、飽きることが無く楽しむことができました。
また、話の中にも伏線が盛り込まれていたり、各キャラクターのバックグラウンドも作り込まれています。シナリオ面は全部を通してハイレベルだったと思います。
設定の説明がとにかく丁寧
アーキタイプ・アーカディアは、あらすじからわかる通り仮想世界が舞台になっています。その兼ね合いで、シナリオ中では専門用語や専用設定のオンパレードでした。ゲームが題材になっている以上、ゲームの仕様が物語に関わってきてしまい、どうしても専用の設定が増えてしまうので仕方がないと思います。
ですが、本作品はこういった専門の用語について丁寧に解説してくれています。序盤にしっかり頭の中に設定をたたき込めば、それ以降は作品を楽しむことができるでしょう。説明不足で物語が楽しめ無くなるという点は一切心配ないと思います。
気になった点
バッドエンドが冗長に感じてしまった
アーキタイプ・アーカディアはノベルゲームですので、途中途中で選択肢が登場します。
物によっては即バッドエンドに直行してしまうのですが、このバッドエンドだけで数えると20個もあります。
問題は、一度バッドエンドに入るとトントン拍子に話が進み、すぐにゲームオーバーが表示される物がほぼ全てだという点です。ストーリー的に重要な情報があるバッドエンドがあるとかそういった物はなく、ストーリー的に意味のないバッドエンドが目立ったかなと思います。
選択肢も、意図的に間違えない限りはバッドエンドに行かない物も多々ありました。正直、ここまでバッドエンドを増やす必要はあったかな?と感じてしまいました。
とあるキャラクターの個別エンドが消化不良感がある
少しだけネタバレになってしまいますが、このゲームにはキャラクターごとに個別のエンディングが発生します。選択肢次第で、各キャラクターの個別エンディングに分岐します。
この個別エンドですが、あるメインキャラクターについては消化不良感がどうしても否めなかったです。他のキャラクターはちゃんと今後が描かれているのですが、そのキャラクターについては今後何がどうなるのか描かれていません…。
筆者はそのキャラクターの後日談が一番気になっていたので少し残念でした。プレイヤーの解釈にゆだねる、という事だったと思うのですが、筆者的にはちゃんと描いて話に決着をつけて欲しかったと思いました。
おわりに
以上が「アーキタイプ・アーカディア」の紹介記事になります。
この作品に限った話ではなく、ウォーターフェニックスさんの作品は本当に引き込まれる物が多く、アドベンチャーゲーム好きの方は是非1度プレイして頂きたいと思っています。
アーキタイプ・アーカディアをプレイする際は、可能な限りネタバレを避けた上で、なるべくまとまった時間でプレイする事をおススメします。